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  こうなるとわれわれが避けてとおれない1つの道がある。それはある世代以上の日本人はサボっている、と。大企業のサラリーマンをイメージしてください。部長や次長といった管理職、彼らは間違いなくこう言っています。「これからはIT革命の時代である。わが社も対応しなければならない。オレはいいからみんなでやってくれ。」(笑)みなさんも思い当たるふしがあるのではないでしょうか。日本人はこんなに意識の低い民俗ではなかったと思います。高度成長期はどうだったでしょうか。専門化が「今度はこれが重要だ」と指摘したならば、いいか悪いかはともかく、みんな飛びついていました。とにかくやってみたんです。この無節操さこそが日本経済の発展の原動力だったと私は思います。(笑)だから一歩を踏み出すということが大変重要であると考えます。
 日本のインターネット利用率20パーセント、アメリカ52パーセント、アジアの中でも香港とシンガポール役40パーセント。日本の利用率20パーセントというのは、ついに韓国に追い越されてしまいました。1つ興味深い統計があります。アメリカ合衆国のなかインターネット人種別利用率です。統計によって若干のばらつきがありますが、圧倒的に多いのは、アジア系人種です。2位が白人です。マイノリティの人たちは利用率が低いんです。もちろん人種だけでなく、所得水準や教育水準といったいろいろな問題はあります。しかし、われわれはアジア人なんです。勤勉さをもっているはずなんです。ここで一歩を踏み出したいと私は思います。
 普通の大人の日本人に取ったアンケート調査なのですが、「あなたはこの1年間、仕事以外の時間で自分の技能を高めるために勉強しましたか?」というものです。イエスと答えた人は日本人の9.2パーセントでした。8年前の82年に同じ統計があります。9.4パーセントでした。最近の教育論議でも、最近の子供は勉強しない、大学生が分数ができないというふうに批判します。大きなお世話です。日本は今大人が勉強していないのです。この事実とも向かい合おうではないですか。

 「プラットホーム」、駅のプラットホームを考えてください。大事な台です。電車に乗ろうと思ったら誰でもこのプラットホームに立たなければなりません。プラットホームの基本ソフトを設計したビル・ゲイツが、世界一のお金持ちになりました。いかにプラットホームを自分のものにするか、プラットホーム獲得の競争が起こってくるわけです。
 しかし、このプラットホームに去年から異変が発生しました。ドコモの「iモード」です。なぜあんなに売れたのでしょうか。パソコンを使わなくても携帯電話でインターネットができることを示した、世界で最初のシステム商品だったのではないでしょうか。だからあんなに普及したのです。
 工学博士の石井威望さんが面白いことを教えてくれました。携帯電話を親指で使う。あれはきわめて日本型のITである。なぜならば、お箸を使う日本人の特技だからだ、と。(笑)本当かどうかはともかく、新しいインターネットのコンセプトなんです。加えてさらに新しいプラットホームが登場しました。ソニーの「プレイステーション2」です。ゲーム機がインターネットのプラットホームになるんです。今年の3月に売り出された「プレステ2」は1ヶ月で170万台売れました。ゲームのためだけならあんなに売れなかったと思います。近い将来インターネットを通じて、音楽とか映像の配信を受けられ、きちんと復元できるもっとも便利な機械、つまり新しいプラットホームがゲーム機であると、若者はちゃんとわかっていたのです。

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