アベノミクスの地方への波及を
 

[2013.05.20]
 去る5月15日に、25年度本予算が参議院で否決され、両院協議会での調整不調の結果、衆議院の議決が優先するとする憲法の規定に従い、ようやく本予算が成立しました。

 例年ならば、3月末に成立するはずの予算でしたが、昨年末の衆議院選挙の余波を受けて、1ヶ月半遅れで成立した訳です。憲法の30日ルールがあるとはいえ、参議院自民党の努力に感謝しなければなりません。

 これで一本目の矢である異次元の金融緩和、二本目の矢である財政政策がやっと動き出しましたが、いよいよ三本目の矢を仕込む段階となりました。

 ところでアベノミクスの効果として、円安・株高がさらに伸展していますが、地方への効果の波及がやや遅れているようです。逆に円安による資材などの輸入物価が高騰し、賃金も思ったより上がっていません。

 我々はアベノミクスが中央の大企業を潤すだけでなく、一日も早く地方の企業や住民によい影響を与えるよう、努力する必要があります。そのためには、各種の規制緩和や地方における民間投資を誘発させなければなりません。

 これを促進するには全国一律の投資減税だけではなく、特区において特例的に減税を実施するなど、地方に重点をおいた差別的な政策を採用すべきです。


憲法96条の改正について
 

[2013.05.13]
  去る5月3日の憲法記念日の前後に、憲法改正に関する議論が、国会の内外で大変盛んになった。言うまでもなく安倍総理が歴代の総理の中で、最も改正に前向きの発言を唱え続けているためだ。

 改正自体については、9条をはじめとして、一日も早く政治日程に上げるべきであり、大いに歓迎すべきことだ。ところが憲法改正手続きを規定した96条の改正については、幾つかの検討を要する。

 ひとつは国会の発議要件を、現行の「衆参両院の全議員のそれぞれ3分の2以上の賛成」から、「2分の1以上の賛成」にハードルを下げることである。この件に関しては、諸外国で国会の3分の2を課している国のほとんどは、国民投票の要件を課していない。例外はスペインと韓国ぐらいである。

 一方、国会の過半数の賛成を要件としている国々のほとんどは、国民投票を課している。このような世界の傾向を見れば、日本の改正手続きはハードルが高過ぎることが分かる。よって前述のような改正は妥当である。
 
 発議要件が過半数ということは、一般の法律改正と同じであって、最高法規である憲法改正に馴染まないとする反論もあるが、国民投票という高いハードルを必ずつけるので、そのような心配は無用と思われる。

 もうひとつは96条改正を先行させることの是非である。今後憲法改正は一度に出来るものではなく、何回かにわたって、実施される可能性が強い。とすれば、最初にハードルを下げておくことには、一定の合理性がある。

 しかし今回が初めての国民投票であり、失敗が許されないことを考えると、慎重にも慎重を期した方がいい。96条の先行処理は「改正のための改正」と国民に受け止められる危険性がある。また憲法をどのように改正するのかがはっきりしないまま、96条改正というと、不安が先行する可能性がある。もし国民投票で否決されたら、解散も避けられず、憲法改正そのものも相当先送りされかねない。

 これを克服するには、96条改正とともに、環境権など各党が賛同しやすい条項と抱き合わせするか、少なくとも各党がどこをどう改正したいのか、またしたくないのかを、国民の前に明確に提示することが必要ではないだろうか。憲法改正という大仕事を成し遂げるためには、強いエネルギーとともに、細心の配慮も必要ではないだろうか。


3本目の矢
 

[2013.05.06]
  「アベノミクス」と称される安倍政権の経済政策は、1本目の矢である金融緩和、2本目の矢である財政政策が順調に進み、円安・株高も定着してきた感がある。お陰で内閣支持率、加えて自民党支持率も記録的な高水準をキープしている。

 これからはいよいよ3本目の矢が始動するが、その主な内容は「規制緩和」である。政府は幾つかの緩和対象分野を発表したが、特に期待される分野は再生医療や創薬である。その背景には、ノーベル賞を受章した山中伸弥教授のiPS細胞の開発がある。

 自らの細胞を使って臓器の一部や全部を再生し、画期的な治療が期待される。また特定の病気や症状にピンポイントで効果を発揮する、新薬の開発に画期的な進展が期待される。しかし現状の医薬の分野には、様々なボトルネックが存在することも事実だ。

 研究・開発から実用に至るまでのいわゆる「死の谷」と呼ばれるもので、新薬や新しい治療方法が認証されるまでの治験の長さや困難さだ。欧米諸国に比べて、認証されるまでのハードルが高く、治験の環境も整っていない。かつて輸入する新薬が日本人の体質に合わないとして、外国の治験データが採用されないことがあった。最近では補充の治験で済まされるようになったが、ことほど左様に、ハードルは異様に高い。

 安全性の確保は大事だが、認証の遅れで折角の日本発の薬が市場で遅れをとったり、何よりも病に苦しむ患者さんの希望を挫くことにもなりかねない。3本目の矢が放たれるまで、今まで以上の時間と労力が必要になるが、「アベノミクス」の完成のためには、決して避けて通れない課題である。


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