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 私も65歳になって大学をやめ収入がなくなると、今の貯蓄を崩しながら生活していかなければならないのです。だから貯蓄しているのです。個人で貯蓄しようと、年金を通して政府で貯蓄していようと同じ事なのです。高齢化社会が本格的にやってきて、今の団魂のせ代が貯蓄を取り崩すようになってきたならば、その時になって以前のアメリカやイギリスのようになってくると考えなければなりません。
 結局のところ、財政赤字の問題というのは、今年の景気がどうか来年の景気がどうかという次元の問題ではないのです。われわれの世代の日本人が次の子供世代のことをどのくらいまじいめに考えているか、ということだと思います。私は団魂の世代の一番下なのです。一番上の肩はご安心下さい(笑)。われわれの世代は食い逃げするんです。ただ食い逃げされる方はたまりません。財政赤字というのはわれわれが子供の世代からお金を借りているんです。ただし、子供の許可を得ずに勝手に借りている。その借金は全て子供達のところへ行く。そう考えると、この財政赤字の問題をきちんと考えなければならない。
 実はこの時に日本では非常に大きな制約問題、人口の問題が出てくるんです。日本に人口というのは明治維新からすごくダイナミックな動きをしています。近代化が始まった明治維新。この頃の日本の人口は3千数百万人しかいませんでした。これが今では約4倍になって1億2千6百万人。世界の先進国の中で、人口が約1億以上であるという先進国の中の大国は、日本とアメリカ、この2つだけなんです。ドイツは東西合わせて8千万、イギリス、フランスなどせいぜい5千万程度の国なのです。日本という国が以下に大きな国か、お分かりでしょう。
 この1億2千6百万人という人口が、今後百年で約半分になるんです。その転換点が西暦2007年だといわれています。2007年がピークで2008年から減り始める。今の出生率から言うと2007年からではなく、2005年くらいから前倒しになってくる可能性も出てきました。本当に人口減少社会というのが目の前にやってきました。重要な点は、人口が減ればGDPは増えません。所得が増えなければ税収もそんなに上がりません。人口が減少してから財政再建を行うのは至難の業です。われわれが本当に子供のことを考えるならば、ピークの2007年までに、在世債権をある程度終えておかなければならない。
 先ほどバブルの後始末まで2,3年かかるといいました。そうすると、2003年に直ちに財政再建に着手しないと、2007年までに財政再建を終えることはおそらくできません。われわれ1人1人がこの厳しさを自覚しなければならない。だからこそ、IT革命、「神風」貪欲になって、われわれの将来を決める覚悟でこれに向かっていかなければならない。企業経営者としてもこれだけの厳しい状況の中で、IT革命を積極的にとり入れる姿勢が大切なのではないでしょうか。

 

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