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えらそうなことを申し上げましたが、ご安心下さい。私が大学に戻りますと、18,19の学生の間では「ローテクなおじさん」になります(笑)。彼らと話していると面白い。彼らは電話なんかもう使わないそうです。あんな不便なものはない、電話をかけて相手が出なければそれで終わり、メールで送ればいいそうです。デートに誘う時も必ずEメールです。Eメールのほうが誘いやすい、その代わり断られやすいともいっていました(笑)。これが彼らの文化なのでしょう。ありがとうございました。(拍手)
司会者―竹中先生、具体的で分かりやすい講義ありがとうございました。元政会ではひきつづきIT革命について今後勉強していきたいと思います。続きまして、竹中平蔵先生と船田元によるディスカッションを15分程度行いたいと思います。宜しくお願いします。
船田―竹中先生本当に面白い、そして世の中の変化をしっかり捉えたお話ありがとうございました。先生のお話のなかにもあった、日本にインターネットを導入した張本人である村井純先生とはずっと以前からあっていました。私は大学で教育学をやっていましたが、その時の指導教授が村井実先生でした。村井純先生はその実先生のご次男です。
私が先生のお宅に訪問した時、当時大学生だった村井純先生のお会いしました。そのとき「なにやっているの?」ときいたら、「コンピュータをかじっている。」といっていました。「あめりかでは軍事部門でコンピュータ・ネットワークという考え方が出てきたんです。日本では軍事ではなくて、民間でも誰でも活用できるようなネットワークを結ぶということをやってみたいのですが。」といっていました。当時の私には「インターネット」と言う概念がありませんでしたので、さっぱりわからなかった。ただIT革命はまさにそのときから始まっていたんですね。
最近「IT戦略会議」についていろいろな記事がでていますが、今一番なにが大変で、一番なにをしたいのかをご紹介いただけますか。
竹中―わかりました。2点申し上げます。インターネットというのはデジタルな情報を交換する場所です。デジタルというのは「数字に直す」ということを意味しますから、全ての情報を数字に直してやり取りする場なんです。これまでの十年間というのは、たまたまあった音声を伝える電話線を使って仮説的に使ってきたんです。やってみたら結構使えたのです。だから今世界でどういうことが起こっているかというと、本格的にデジタルな施設を作ってはどうかと。これが高速インターネット網という考え方なんです。気が付いてみると日本はこの高速インターネット網が極めて遅れています。高速の比率は諸外国の中でかなり低く、アジアの中でも韓国よりずっと低いんです。そこでこのままでは勝てない、違う次元で競争しようとしました。超高速のインターネット網というのを5年くらいでひいて、一気に世界のフロンティアに出ようとしているのが、IT戦略会議で話していることです。
大切なのは、政府が工事をするのではないということです。みんなが使って儲かるとわかっていることですから、民間にやってもらえばいいんです。電柱を開放してそこに光ファイバーを通す許可さえ貰ったら、それを引く会社はたくさんあります。インフラ設備というと必ず公共事業になりますが、競争促進政策に基づくインフラ整備、これがまず一点目です。
2点目は、先ほど申し上げた国民運動です。情報文盲率を徹底的に下げる。そのためにどうしたらいいか。各国でものすごい知恵の出し合いをしている。アメリカは徹底して小学生がインターネットに使うお金を補助している。韓国では情報の拠点を整備する。日本で意味亜感が得ているのは、全員にIDカードの受講券を持ってもらって、本当に勉強したい人は、ただで勉強しようというやり方を考えています。国民運動としての展開の仕方、これが第2点です。
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