< 21世紀の日米関係 >
船田―世界の中で、最も重要な二国間関係であることには変わりないのですが、アメリカからすれば日本は非常に物分りのいい友好国である。そういう状況が今でも続いている。それに嫌気をさして、例えば石原新太郎知事は、「NOといえる日本」ということで、逆にナショナリズム的な反発をする。そういう現象が10年くらい続いてしまって、反米まで行かなくても嫌米という国内世論が出てきている。日本の国益のために日米同盟関係をうまく使ってやろうという、したたかな外交、両国関係を模索していくことのできる政治家が出てきてもいいのではないか思うんです。
森本―そうなんですが、アメリカは日本がこの数年、ナショナリスティックになっていると見ているのですが、アメリカから見て日本のナショナリズムというのは、反米主義に見えるんです。ところが日本国民が持っている感情は、ナショナリズムではなくて、閉塞感とフラストレーションではないかと思うのです。戦後50年間努力して、よく見ると経済はよくない。不況に苦しむ。今まで努力してきた成果が何だったんだろう、そして、今後豊かになる保証があるのだろうかという、現在の日本に対する根強い不満というのがあって、それは決して反米だとかナショナリズムではないと思うんです。国際社会を見るとアメリカの一極主義になっているから、日本は利用されるだけ利用されてきたのではないかというフラストレーションもあって、結局このフラストレーションの根源は自分に対するフラストレーションなんです。日本における政治経済に対する自分たちの非常に根深い不満というのが、アメリカから見ると反米ナショナリズムに見えるということではないかと思います。
日本に今求められているのは、どういう国として21世紀に日本が存在しうるのか。日本の国家の国家感とか、価値がどういうものであるのかを考え直すことにある。残念ながら日本の政治家はそのシナリオを示さない。政治家は明日の日本のあり方、形を示すのが職業としての目標だと思うんです。船田さんに一番期待するのはそこです。目の前で個々の政策は大事なことかもしれませんが、むしろ、こういうふうにすれば、21世紀の国、日本の国というものがアジアの国の中で豊かで、安定した国が作れるというある種の国家像をきちんと示していただく。われわれもそれを議論して考える。そういうことが日本の社会の中でこの50年間ほとんどなかったわけですから、いま「改革、改革」といってあらゆる改革を言っているのですが、不徹底に終わり、展望が開けない。このことへの不満というのが、アメリカから見ると反米的なナショナリスティックな国になりつつあると見えるのではないかと思うんです。
|