< 東アジアの将来 >
森本―日本はアジアに位置するわけですが、アジアにとって21世紀なにが問題なのかというと、突き詰めて考えると中国をどう考えるかということに集約されると思うのです。中国がどうなるかは中国人にもわからない。人口の面では、現在は12億で来世紀の中頃までに15億近くなるという、膨大な国を封じ込めることはできない。中国がどちらの方向に向かうかについては、いくつかの見方があって、アジアの地域大国になるシナリオの一方で、共産党一党独裁の体制が壊れて、中国がバラバラになっていくというシナリオ。これらの中間のシナリオなどいろいろあると思います。
中国がアジアにとってどういう国になるかと考える時、大切なのは中国をアジアの不安定要因にしないということなんです。しかし、無節操に中国の改革開放を助けることは日本の国益を失う。そこで、中国がどうなるかということを考えながら、アメリカのアジア政策がどのように変化していくかを考えなければいけない。そう考えると、今回のアメリカ大統領選挙の結果出来る政権が、アジア太平洋政策をどのように変えていくかということは、われわれにとって非常に大事です。
今までの日米同盟を考えると、アメリカのグローバルな戦略をあまり考えないで、日米同盟に日本はすがってきた。これでは、これからの日本の国益というものは追求できないと思います。やはり船田さんがおっしゃるように、日米同盟を日本のために利用する。アメリカは日米同盟をアメリカのために考えているわけで、アメリカの国益を追求するという一点において、日本を利用するということを考えているわけですから、したがって日本もこの日米同盟を通じてできるだけアメリカを日本のために利用するという考え方にならないと、これからの同盟というのは維持できないと思います。
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