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生きた政治学ノート


議員立法の増加と政策スタッフの充実―
 法律案の提出者は、これまで行政側の「内閣法」が圧倒的に多かった。しかし最近は若手議員の活躍や、政府提出にはなじまない法案の内容が増えたため、「議員立法」が増えてきた。議員立法の増加によって、政治の活性化が図られたり、省庁のしがらみに囚われず、国民の立場に立った立法を可能とする。
* 政府提出になじまないものとは、各省庁の利害がぶつかる場合や、国民に価値判断を委ねざるを得ない場合。「臓器移植法案」がその良い例である。

 議員立法を増加させるには、議員側の立法技術の向上が不可欠である。しかし日本では衆参両院とも、議員の政策立案や立法活動をサポートする「政策秘書」は公費でたったの一人しかまかなわれない。政策秘書の充実が急務である。
* アメリカ議会では20〜30人分の公費による政策スタッフが持てる。これは大統領制における議会の役割が違うという背景や、訴訟社会であること、さらには年間の法律案提出本数が、議員の活動評価に直結するなどの慣習が関係している。

(2)政府内の決定過程
事務次官会議の優越性―

 政府提出の法律案については、各省庁の「省議」で決定し、その後に自民党の一連の手続きを経る。与党の了解が得られたものは「事務次官会議」→「閣議」を経て、国会提出となる。自民党内の手続きと政府内の手続きは、大変錯綜している。全会一致による「事務次官会議」は、閣議にかけられる案件(法律案や予算案、各種報告など)について、省庁間の利害対立や不満を事前に調整してしまう。ここを通らなければ閣議に行かないし、ここを通ったものはほとんど閣議も通る。これでは事務次官会議が閣議に優越するといっても過言ではない。
* 事務次官会議の優越性は、官僚支配のシンボルである。これを打ち破るために、政治による総合調整に期待した「総合科学技術会議」や「経済財政諮問会議」が省庁再編後誕生した。これらを活性化させ、官主導から政治主導に持っていけるかどうかは、総理大臣のリーダーシップにかかっている。

閣議の形骸化とその防止策―
 事務次官会議で調整された案件を議論するため、閣議はほとんど形骸化している。では閣議で各大臣は何をしているかというと、おびただしい大臣決裁書類にひたすら「花押」をサインするのみである。しかし最近は、正式な閣議の後に「閣僚懇談会」を開催して、各大臣の自由な意見が述べられる場が出来た。ここでの議論が閣内の意思決定には直接つながらないものの、閣僚懇談会を活性化できるかどうかは、総理大臣のリーダーシップにかかっている。

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