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生きた政治学ノート


構造改革を進めるための政治の役割―
 しかし痛みがあるからといって、改革を避けてはならない。痛みを乗り越えてこそ、日本の立てなおしが図れるからである。改革を実行するには、アメリカ大統領制にも似た強力なリーダーシップと、国民が政治を信頼していることが不可欠だ。しかし現状では、政治は次のような困難さを伴っている。
1. 自民党総裁を選出する方法が密室だと、国民から胡散臭い目で見られている。森内閣支持率の低迷の原因でもある。
2. 今回の総裁選に出馬した4人は、小泉氏が直前で派閥離脱したものの、ほとんど自民党の派閥の長である。派閥支配の自民党政治に国民は嫌気をさしている。
3. 自・公・保の連立は当面の政治安定をもたらすが、政策を曖昧にする恐れがある。
4. 民主党も組合依存体質を抱えるとともに、内部の意思統一が図られず、野党第一党として十分に機能していない。
*因みに現在行なわれている自民党総裁選挙の調査をしたところ、小泉純一郎18票、橋本龍太郎16票、亀井静香5票、麻生太郎0票であった。

1. 政府与党内の政策決定過程の検証
(1)自民党内の決定過程
予算・法律の流れ―

 予算案や法律案はすべて、政務調査会の中にある「部会」→「政策審議会」→「総務会」→「役員会」という順番で流れていく。各段階では全会一致で決定されるしきたりだが、最近は利害関係の調整に手間取り、多数決で決定せざるを得ない場合も増えてきた。

政・官の癒着―
 官僚はこれらのあらゆる段階で、与党議員に周到な根回しや圧力をかけ、従順な議員を「族議員」に仕立て上げる。政務調査会の各部会は省庁の並びと同じであり、縦割り行政をそのまま自民党の政策活動に持ちこんでいる。そこでは政・官共通の利益が生まれやすく、政・官癒着を引き起こしかねない。議員も1、2の部会に所属して発言力を高め、副部会長→部会長→政務次官(行政)→委員長(国会)→大臣と進んで、本物の「族議員」に成長する。
* 縦割り行政の弊害としては、次のようなものがある。
 幼稚園と保育所は子どもを対象とした施設だが、幼稚園は文部科学省、保育所は厚生労働省の所管に分かれ、相互の連携がほとんど図られていない。行政管理庁が2度にわたって「幼保一元化」を勧告したが、自民党内の文教族と厚生族が協力して潰してしまった。
 コンピュータ・ソフトの保護について、文部省は著作権を適用すべきと主張し、通産省は工業所有権や特許を適用すべきと主張して対立した。文教族と商工族が激しく対立して決着が長引いたが、結論は著作権による保護と決定した。
 情報通信分野の所管官庁を決める際、通産省はコンピュータによる情報処理を重視して自分のところが所管であると主張。一方の郵政省はあくまで通信手段に関わることなので、郵政省の所管であると主張し厳しく対立した。実際にはコンピュータのネットワーク化により、情報処理と通信は渾然一体である。現在では両省の共管となっている。

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