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生きた政治学ノート


(6)小沢調査会と憲法解釈
小沢調査会の経緯―

「小沢調査会」の正式名称は、「国際社会における我が国の役割に関する特別調査会」である。小沢一郎・前自民党幹事長(現在は自由党党首)が会長を務めたため、通称としてそう呼ばれた。私はその事務局長として議論に加わった。同調査会は平成2〜3年の湾岸戦争への日本の対応の反省から、3年6月に発足し、5年1月に答申を出して解散している。

湾岸戦争の反省―
 イラクのクウェート侵攻をやめさせ、イラクに制裁を加える多国籍軍の行動に対して、90億ドル(当時のレートで約1兆円)の財政支援を、日本は増税(ガソリン税とタバコ税の税率上乗せ)までして実施したが、多国籍軍への直接の参加はもとより、後方支援についても、憲法上の制約から実現しなかった。解放後のクウェートが感謝広告を新聞に出したが、多国籍軍に何らかの形で加わった国々(32カ国)の名前がのったにもかかわらず、日本の名前はなかった。

人的貢献の必要性―
 小沢調査会に求められたことは、まず国際紛争が発生した際、とりわけ国連決議に基づく国際協調活動が要請されているとき、日本も何らかの「人的な貢献」を求められることが多くなっており、何が出来るかに一定の結論を出すことである。もうひとつは、1989年にベルリンの壁が崩壊して東西冷戦が終結したため、かえって民族、宗教、文化の違いによる地域紛争が多発する傾向にあり、これに対して日本がどうすべきかを考えることであった。但し調査会の議論は、あくまで現行憲法の枠内でとのタガをはめられたため、議論が深まらなかった点は否めない。

小沢調査会の答申内容―
一国平和主義から国際主義へ
 日本が戦後陥りがちであった「一国平和主義」から脱却して、憲法前文にある「国際社会において名誉ある地位を占めたいと思ふ」との精神を高め、「国際主義」に転換しなければならない。

人的貢献の重要性
 日本はまず、世界が平和でなければ今の繁栄を守ることが出来ないとの観点から、ODAをはじめとする経済的寄与、青年海外協力隊やシニアボランティアなどの人的寄与をさらに充実すべきである。

PKOへの積極的参加
 さらに経済面ばかりでなく、安全保障分野においても、直接の武力行使を伴わない国連PKOへの積極的参加、そしてPKF参加凍結を早期に解除すべきである。

集団的安全保障
 日本が集団的自衛権を行使することは時期尚早だが、国連の決議に基づいた集団的安全保障という、新たな考え方を積極的に導入していくべきである。

国連軍への参加
 集団的安全保障の最も理想とする形は、国連軍の結成である。国連軍に参加するということは、国連が任命した司令官に全権を委任することであり、ここでの行動は憲法9条の「国権の発動」ではなくなる。また国際秩序を回復するという国連決議に基づくので、「国際紛争を解決する手段」ではない。したがって日本の国連軍への参加は、憲法上許されると解釈される。但し、朝鮮戦争の際の国連軍や、湾岸戦争時の多国籍軍は、指揮命令系統が参加各国に委ねられるため、国権の発動と解釈される。したがってそれらへの参加は憲法上許されないと解釈される。

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