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平成12年5月11日
文教部会・文教制度調査会 教育改革実施本部 教育の情報化研究グループ I. はじめに 他の先進諸国と同様、わが国においても、社会構造の変革をもたらすような情報化が急速に進展している。また昨今の日本経済を再生する数少ない手段のひとつとして、IT(情報通信)革命の経済効果に大きな期待が寄せられている。こうした中、学校教育にも情報化の波が急速に押し寄せる一方、将来確実に情報社会に入っていく子どもたちのためにも、学校における情報教育は不可欠の要素となった。 わが国も学校教育へのコンピュータやインターネットの導入を急ピッチで行なっているが、その本来の目的や意義が十分に吟味されていないために、導入したらそれで目的を達成したと錯覚したり、操作を教えるだけで終わってしまうケースが後を絶たない。また急速な整備のために、学校をめぐる情報環境が貧弱であったり、指導者の養成が追いつかない状況も指摘されている。 当研究グループは、2年前に「通信衛星利用教育研究グループ」として発足したが、学校現場における情報化に多くの問題を抱えていることに危機感を抱き、本年3月に「教育の情報化研究グループ」として再発足した。これまで6回の研究会を開催してきたが、ここに教育の情報化についての現状の問題点と将来の方向性を提言し、関係各方面の理解と協力を求めたい。 II. 学校教育の情報化に関する基本的な考え方 1.情報化を行なうことの目的や意義の明確化 学校教育は現在、陰湿ないじめや不登校生徒の増加、さらには学級崩壊などといった新たな困難に直面している。このような教育の危機とも言える状況に対して教育を情報化することによって、次のような効果を持つことが指摘できる。
2.目的でなく手段としての情報化 コンピュ―タをはじめとする情報機器を導入したり、インターネットに接続すること自体が情報教育の目的であるかのように誤解している学校現場もあるが、これは早急に改めなければならない。またコンピュータやインターネットは飽くまで情報教育の「道具」に過ぎないということを再確認し、「コンピュータを教える」 段階から、「コンピュータで教える」段階に早急に移行すべきである。 さらに情報教育においては、情報機器の使い方を教えるだけではなく、「情報」をどのように収集し、判断し、創造し、発信していくかを教えるべきである。 III. 情報化に伴う諸問題への対応 情報化社会の進展に伴って、経済発展や生活の利便性が増大するというプラスの効果も期待されるが、同時に有害情報の蔓延や新手のコンピュータ犯罪の多発など、マイナス効果も伴うことを認識しておかなければならない。学校教育を情報化する際にも、これらプラス・マイナス両面への対応を準備しておく必要がある。 1.有害情報への対応 有害情報への対応については、精度の高いフィルタリング技術を開発することも重要だが、むしろ子どもたちが自らの意思と判断で、有害な情報にアクセスしないか、あるいは排除できるような態度を身につけさせる教育がさらに重要である。 2.新たな情報弱者を生み出さないための配慮 学校教育の情報化においては、機会の均等を確保する観点が重要である。このため、個々人の情報機器の操作に関する技術や適性の違いによって、新たな情報弱者を作らないことや、情報環境や指導者の能力差によって地域間格差を作らないようにすること(いわゆる「デジタル・デバイド」の防止)への十分な配慮が必要である。 3.情報化における心のケア 情報教育にあってはコンピュータやインターネットに頼り過ぎることなく、「心を育てる教育」や「人間対人間の教育」を疎かにしてはならない。またいわゆる「インターネット病」など、情報化に 伴って適応障害を起こしている子どもたちに対するカウンセリング等を充実する必要がある。 IV. 情報化におけるハード面の諸問題 1.コンピュータ等の整備目標 学校におけるコンピュータ整備やインターネット接続を、ミレ二アム・プロジェクトに掲げた目標*に向かって着実に進める必要がある。
2.回線速度の高速化 教育の情報化を推進するためには、少なくとも動画が容易に送れたり取り出したり出来る環境(最低限1.5Mbps)を実現することを目標に、以下のようなインターネット回線の高速化を図るべきである。
3.接続料金の低減化 学校におけるインターネット接続料金は、まだまだ高いと言われている。これが学校の情報化の障害となることが指摘されている。アメリカの「Eレート」のような、学校向けの軽減料金制度を導入して、無償または少なくとも現行の10分の1程度に軽減する必要がある。 4.情報ツールの標準化 情報ツールにはコンピュータ、インターネット、VTR、通信衛星など様々なものがあるが、それらを複合したシステムは、余程操作に慣れた専門家でなければ使えないとの指摘がある。今後は全ての教員や児童生徒が容易に利用できるよう、機器やシステムの標準化や、共通マニュアル の作成を推進すべきである。 IV. 情報化におけるソフト面の諸問題 1.指導者養成における目標 学校の情報化にとって最も重要なことは教員のコンピュータ研修だが、一部の教科の担当者のみならず、平成13年(2001年)度末までに90万人の公立学校の全ての教員の研修を終了させるというミレ二アム・プロジェクトの目標を、企業、大学、専修学校などの外部機関の協力を得ながら、着実に実施する必要がある。 さらに学校の情報化にとっては、特に校長等の管理職の理解とリーダーシップが鍵となることから、管理職に対する情報教育の重要性に関する研修を実施することが望まれる。 2.外部の情報技術者の積極的な導入 子どもたちへの情報教育を推進し、必要かつ適切な教員への研修を実施するためには、学校外から専門家を積極的に受け入れる、「開かれた学校」の姿勢が大切である。 SE派遣事業、特別非常勤講師制度、緊急地域雇用特別交付金などを活用し、学校外の専門家が「情報教育推進アドバイザー」や「情報化推進コーディネ―タ」として、学校や教育委員会に おいて継続的に活動できるよう、必要な支援を行うことが必要である。また企業ボランティアや地域ボランティアなどを積極的に活用することも重要である。 3.教育用ソフトの開発と普及 子どもたちや教員のニーズをきちんと踏まえたソフト、コンテンツの開発を行うとともに、これらのマーケティングについては、各製作者が予算をつけて実施することが重要である。「子ども相談室」のようなサイトや、子どもたちの発達段階や学習進度に適合した検索サイトの開発などは、行政がきちんと対応すべきである。 さらに行政は優良なソフト、コンテンツやその利用方法を広く紹介するための情報提供を積極的に行なうことや、様々なソフト、コンテンツを利用してコンピュータ、インターネットを積極的に活用している実践事例について、コンクール等の顕彰を行なう必要がある。 4.図書館教育と情報化 学校の情報化に伴って、「ハイブリッド図書館」の整備など図書館の情報化を積極的に進めるべきだが、一方でデジタル化時代における図書館の新たな役割を再構築したり、読書の重要性 を授業の中できちんと教える必要がある。 |
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