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生きた政治学ノート


多様な採決方法―
 採決の方法についても、時間稼ぎが出来るようになっている。まず議院運営委員会や各委員会の「理事会」は、委員会の審議方法や時間を話し合う場だが、物事を決めるのに全会一致を慣例としている。したがって一党でも審議方法に反対すると、いつまでも審議に入れないこととなる。最近は理事会でも多数決で決定することが多くなった。
 また本会議での採決方法には次の3つがある。
 1.異議なし採決…これは全会一致の場合に使われ、5秒で終わる。
 2.起立採決…これは野党の中で数党が反対するときに使う。やはり5秒で終わる。
 3.記名採決…これは与野党が厳しく対立する法案や、予算案、内閣不信任案の採決の時に使われる。ひとりづつ投票箱まで歩いていくので、「堂々巡り」といわれる。一回に約20分強かかる。
 記名採決の際、野党が徹底抗戦する手段として、牛のように遅く歩く「牛歩戦術」というのがある。実際には牛の歩みより遅く、最長で4〜5時間かかったものもある。
 *平成元年の消費税国会では、審議した委員会の委員長、議院運営委員長、所管大臣、議長など、立て続けに解任決議案が提出され、これらを法案採決に先立って採決しなければならないため、6回ほどの牛歩の後、3泊4日の国会でようやく成立した。また平成4年のPKO国会でも、同様に2泊3日の国会となった。

国会の会期制―
 このように野党がことさら国会審議に時間をかけてくるのは、国会が会期制度を採用しているからである。会期内に法案を通さないことが、未だに野党の手柄と考えられるからだ。これを防ぐには会期をなくして、「通年国会」にすることが考えられる。
 また参議院本会議場には、数年前から押しボタン投票制度が導入されることとなった。しかし重要法案の採決となると、やはり記名採決で「堂々巡り」をする場面が多くい。野党はいつまでも、採決時間を延ばせる手段を握っておきたいようだ。

(4)二院制の限界
参議院はカーボンコピー?―

 日本国憲法が制定された時、衆参両院にはそれぞれ次のような役割が期待されていた。すなわち、衆議院は政党政治による「民意の集約」、参議院は国民各界代表による「民意の反映」や専門的立場からのチェックである。それぞれの特徴を生かした役割分担とダブルチェック機能を発揮し、国会の役割を高めることが理想であった。しかし参議院は一時期を除いては、衆議院と同様な政党化が進んでしまい、その役割を自ら弱めてしまった。参議院が衆議院の「カーボンコピー」と言われる所以である。

参議院緑風会―
 昭和22年から40年まで、参議院には「緑風会」という会派があった。かれらは参議院の政党化に懸念して、どの政党にも属さず、参議院の本来の役割である、専門的立場からのチェックという役割を模索した。最盛期の昭和20年代後半には、参議院議員約250名のうち80名近くが加盟した。しかしその後は徐々に減少し、政党化の前にはなす術もなかった。

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