←政策提言トップへ
平成16年1月22日
Forbes Japan 2004 March掲載より 他足利銀行は03年11月29日夜に預金保険法第102条1項3号の適用が決まりましたが、その2日ほど前、地元で破綻のうわさが流れていた時竹中大臣と連絡を取りました。 「ソフトライディングできる1号適用に御努力していただけないでしょうか」と率直に申し上げました。しかし大臣は「監査法人が出した数で判断されますから私情を交えることは、いっさいありません。措置は自動的に発動されますからなんともいえません」というしゃくし定規な答えでした。 かつて多くの地元企業が、自己資本の増強を目指した足銀の増資要請に応じました。利潤追求目的ではなく助けるために出資した「善意の株主」です。このことは竹中大臣にも繰り返し申し上げました。 大臣は監査法人の数字で判断すると言われましたが、同じ監査法人が03年3月期決算で「過小資本でも債務超過でない」と報告しています。自己資本比率は4%を超えていました。それが9月になってから金融庁から「3月期決算は債務超過ではなかったか」と疑いを持たれ、特別検査が実施されて、9月期中間決済を債務超過としないと金融庁が受け入れないような雰囲気に追い込まれました。この点、地元の疑心暗鬼になっています。 金融庁が決算報告を疑って特別検査に入り、繰り延べ税金資産の問題を持ち出したことで、外部監査の位置づ、け、意義づけも揺らいでいます。私は1月14日の衆議院財務金融委員会でこの点を、中央青山監査法人の上野氏と日向元足銀頭取に参考人質問するつもりです。 栃木県でシェアが半分を超えていた足銀ですが、今後、より厳しい不良債権処理の過程で倒産が発生することも予想されます。地域経済のために足銀が抱えてきたグレーゾーンの企業をどうするかが焦点ですが、個々の再生能力をよく見極めて対応していただきたいと、新経営陣と金融庁には何度でも申し入れていくつもりです。 「受け皿銀行」ですが、地元では「県民銀行構想」が持ち上がっています。県庁建て替え事業の数百億円の基金を使い、県債を発行し出資を募ればできるというのですが、私はそれはベストですが困難が予想され、次善、三善の策を用意しておくべきだと思います。 次善の策は、国内有力銀行の傘下に入りながら地元企業の出資で資本増強を図る「県民銀行的銀行」で、三善の策は、栃木銀行、群馬銀行、常陽銀行など北関東の有力地銀が共同持ち株会社を作り、それにぶら下がる形で「北関東連合銀行」を設立して、危険の分散を図るやり方です。 足銀処理で、3号措置をとっても新銀行は立ち直り、地域経済も心配ないというモデルケースを作ってくださいと、竹中大臣には改めて申し入れています。 (インタビューは15年12月16日に行われたもの) ![]() |