はじめのマイオピニオン - my opinion -
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ポスト・コロナを考える~社会機能の分散~

  先日は国会内において「社会機能の全国分散を実現する議員連盟」という新しい政策検討会議がスタートした。この度の新型コロナウイルス感染症拡大によって、東京・大阪などの政治、経済の拠点が機能麻痺に陥るという状況を呈した。ポスト・コロナやウィズ・コロナの時代には、一極集中や中央集権では国の運営は難しく、社会機能の地域的分散を図る必要があるということで、この議連が結成された。
   今から20年以上前の平成8年、政府に「国会等移転審議会」が設置され、同11年には移転候補地を3か所に絞るという答申が出された。ところが当時の石原東京都知事がこれに猛反発し、世論も移転に理解を示さないまま、この構想は沙汰止みになってしまった。当時は「国会等移転」と「首都機能移転」はほぼ同義語とされ、本来は国会、官邸はじめ中央省庁、最高裁判所の移転だけだった筈が、首都をそっくりそのまま移転させる印象を与えてしまい、国民世論を敵に回した感がある。
   さらに移転候補地となった北東地域(栃木、福島、茨城)、東海地域(岐阜、愛知、静岡)、三重・畿央地域(三重、滋賀、京都、奈良)の3地域の間で誘致合戦が過熱してしまい、これに外れた地域が白けて、全国的な盛り上がりに水を差してしまった。私の故郷に近い栃木県那須地方が最有力とされたため、東北地域に肩入れし過ぎたのではないかと、今になり反省しきりである。
  この度のコロナ禍という新たな事態は、あらゆる社会機能が1か所に集積していると、パンデミックはもとより、首都直下型地震や豪雨などの自然災害に対して、極めて脆弱になることをあらためて認識させられた。一方でそれらの社会機能を持った組織がネットワークで繋がっていれば、どこか1か所に集積しなくても、不便は感じないだろう。
    今自民党内では、令和2年度本予算、第1次補正予算、第2次補正予算に盛り込まれたコロナ対策を出来る限り早く執行すべく、努力を続けているところだが、さらにポスト・コロナ時代の「新しい生活様式」とは何か、日本の新たな役割は何かをテーマとした勉強会も複数立ち上がった。「社会機能の分散」をテーマとしたこの議員連盟も、過去の国会等移転の失敗を教訓として、大きな役割を担うことを期待している。

[ 2020.06.22 ]