はじめのマイオピニオン - my opinion -
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スポーツ団体にガバナンスを

 我が国のスポーツ団体において、最近パワハラやガバナンスの欠如による不祥事が、相次いでマスコミを賑わせている。かつては柔道、レスリング、相撲が騒がれたが、最近はアメリカンフットボール、ボクシング、そして体操などが槍玉に上がり、ワイドショーなどで取り上げられる頻度も分量も格段に増えた。

 東京オリンピックが2年後に迫り、何かと注目を集める中で、これまで見過ごされていたことが発覚したのかもしれないが、発覚しようとしまいと、本来から糾弾されるべきことは言うまでもない。オリンピックまでに時間が迫っており、各競技団体は早急に組織を再点検し、悪弊は払拭しなければならない。「アスリート・ファースト」に徹し、仮にも出場資格を失うことのないようにお願いしたい。

 どのような団体・組織にも言えることだが、長年運営をしていると、内部では常識と思っていたことが、世間の常識とはズレてしまうことが多い。しかも始末の悪いことに、組織内の人間はそのズレに気がつかないことが多い。だからこそ外部監査を入れることが重要なのだ。実は国会というところも、議員にしか通用しない常識があり、議員同士で話をしても何の不思議もないことが、有権者と話すと不思議がられ、理解してもらえないこともある。幸いこのズレを強制的に直すチャンスが選挙である。

 もう一つ競技団体に特徴的なのは、勝利は誰の手柄なのかが常に問われていることだ。勝敗はもちろん選手の実力や努力に帰せられるが、指導者や選手の所属する学校やクラブ、地域の競技団体の手柄にもなる。勝った選手と同様に彼らも讃えられるべきだが、それが度を過ぎたり、選手そっちのけで手柄争いが始まったり、新たな手柄を獲得するために選手の取りっこをするようでは、見ている方は堪らない。選手も気の毒である。

 手柄を取りたいのは人間の当然の性だが、競技力を高めたいのであれば、ここはその欲を封印して、アスリート・ファーストに徹して、選手の練習環境を出来るだけ整えてあげることが肝要ではないか。オリンピックをはじめ国際大会における日本選手の活躍が、国民すべてに歓びをもたらすものならば、ナショナル・トレーニングセンターはじめ多額の公金が選手強化に使われているのならば、「綺麗事では済まされない」スポーツ団体は、退場してもらわなければならない。

[ 2018.09.03 ]