はじめのマイオピニオン - my opinion -
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働き方改革の留意点

 いよいよ今日から150日間の通常国会が始まる。今国会は「働き方改革国会」とも称され、過労死や自死の原因にもなる長時間労働の制限、「同一労働、同一賃金」を旨として正規・非正規の賃金格差を縮めること、裁量労働制の拡大など、包括的な政府提出法案を審議することとなる。

 戦後かたち作られてきた労働慣行を抜本的に見直し、多様な働き方を進めるとともに、子育てや介護などと勤務の両立を目指そうとする試みである。少子高齢化の進展により生産労働人口が減少の一途を辿っている昨今、労働生産性を向上させることも課題である。かつては労働組合の意を体した革新政党が要求してきた事柄だが、今や政府与党がお株を奪うといった構図になった。

 しかしこのような働き方改革を推進する場合、大企業・中小企業や職種に関係なく一律に行おうとすると、様々な問題が起こる危険性も孕む。大企業と同じように中小企業においても改革を進めようとすると、現状でも人手不足感があるのに、さらにそれに拍車をかけかねない。人件費の増大を吸収することが出来ず、経営を圧迫しかねない。

 さらに学校の教員や医療従事者の場合、比較的長時間勤務を強いられている実態を是正することは避けて通れないが、生身の人間を相手にして、極端に言えば24時間対応せざるを得ないという特殊性を認めず、他の職種と同様一律に箍を嵌めてしまって良いのかどうか、疑問が残るところだ。

 新たな制度や行政指導が行われる際、当初は一定の幅を認めているにも拘らず、末端に行けば行くほど厳しくなってしまう傾向がある。この度の働き方改革も、もしこのような傾向を持つならば、現場の混乱や活力の阻害を起こす危険性がある。制度の運用に慎重な配慮が求められる。

[ 2018.01.22 ]