はじめのマイオピニオン - my opinion -
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パリ協定発行へ

 地球温暖化の主因と言われるCO2の排出量を世界規模で削減しようという、「気候変動枠組み条約」締約国会議(COP)が、昨年11月同時テロの直後のパリで開催された。基準年は様々だが、おおむね2030年までにそこから何%削減するかを各国がプレッジして、ホチキスで留めたのが「パリ協定」である。

 これが効力を発する条件は、55以上の加盟国の批准と、それらの国のCO2排出量合計が、全体の55%を超えた時である。当初はかなり高いハードルだと思われたが、世界一位の排出量のアメリカ、第2位の中国が予想以上に早く批准し、10月に入ってからEU加盟国もまとまって批准する展開となり、もう来月4日には発効してしまうという速さだ。

 これに驚いたのは我々日本である。温暖化に対する世界の認識が、我々が思っている以上に高まっていること、また協定の内部に早く入り込み、その後の話し合いで自国に有利に誘導しようとする各国の思惑を、日本は甘く見ていたとしか言いようがない。

 日本は東日本大震災や原発事故の後遺症で、エネルギーの安定確保に気を囚われてしまい、環境保全マインドがやや弱くなっていたと反省しなければならない。しかし今からでも遅くはない。2030年に2013年比で26%のCO2を削減するという我が国の目標は、かなり現実的である。

 次回のCOP22はモロッコのマラケシュで11月上旬に開催されるが、これを睨んで国会での批准手続きは一定のスピード感を持ってやらなければならない。衆議院ではTPP関連法案がかかるため、参議院先議で対応することも考えられる。今後とも地球温暖化防止の先頭に立つことが、国益を守ることにつながるのではないか。

[ 2016.10.10 ]