はじめのマイオピニオン - my opinion -
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高校野球とアマチュアリズム

 8月21日に夏の甲子園大会で全国制覇を成し遂げた作新学院高校ナインは、台風9号の風雨の真っ只中、翌日無事宇都宮に帰還した。26日には栃木県庁と宇都宮市役所で、それぞれ優勝報告会を開いていただき、合わせて1000名近い県民、市民の皆様から祝福していただいた。

 決戦から数日が過ぎても地元は熱が冷めやらない状況であり、あらためて作新ナインが成し遂げた偉業の大きさを教えられることとなった。我々学校関係者も、ようやく夢の中から現実に引き戻され、この偉業が正直、実感できるようになった。

 これまで皆様からいただいたお祝いの言葉に紛れて、最も多かった質問は、優勝パレードはいつやるのか?だった。この偉業を多くの皆様に見ていただき、応援いただいたお返しをするには、パレードが一番だと私も感じていた。しかし日本高校野球連盟からは、自粛して欲しいとの意向が既に伝えられていた。

 パレード自粛は今回に限ったことではない。約20年ほど前から同様の状況になっていた。パレードともなると、どうしても派手になりがちで、教育の一環である高校野球の精神から言っても、また選手たちが無用な勘違いをしないためにも、やむを得ざる措置ではないだろうか。

 作新学院が史上初めて春夏連覇を遂げた54年前は、宇都宮駅から作新キャンパスまでの沿道約4kmが、歓迎の市民で埋め尽くされ、当時の市の人口が20数万人のところ、20万人の人出だったようだ。当時の騒ぎを記憶されている年配の皆様には、大変寂しい思いをさせてしまったが、時代も違い、ご理解いただけるのではないか。

 プロ野球と違い、地元商店街やデパートなどでの優勝記念セールも、高野連の「商業主義排除」のルールによって、残念ながら実施できないことになっている。地方創生につながる良い機会ではあるが、これもやむを得ないことと、ご理解いただきたい。

 一方、アマチュアスポーツの典型と言われたオリンピックの方は、最近商業主義にどっぷり浸かってしまった感がある。オフィシャルサプライヤーを獲得するために、企業同士が競争を激化したり、放送権を巡って醜い争いが行われたりすることも、しばしば見聞される。オリンピックそのものの価値が、そのことによって下がらないかどうか、懸念される。

 高校野球が人々を感動させるのは、選手たちのひたむきなプレーや、一発勝負の潔さだけではなく、徹底したアマチュアリズムも一役買っているのではないか。この状況は皆で理解し、守らなければならないのではないか。

[ 2016.08.29 ]