はじめのマイオピニオン - my opinion -
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加工食品の原料原産地表示

 昨年秋、環太平洋パートナーシップ協定(TPP)が大筋合意され、今後は各国での国会承認の手続きに入る。多様な12カ国の意見の一致を見るまでに、大変長くタフな交渉を続けて来た各国の交渉官に、心からの敬意を表したい。

 

 TPPは農産物取引きに限らず、工業製品、流通サービス分野、著作権、通信分野、人の移動など、あらゆる活動の各国間の壁を取り去り、域内の経済活性化に資するものである。世界経済の40%を占める地域の統合は、世界に大きな影響を及ぼす。

 

 しかしながらTPPは全てハッピーとは言えない。競争力の弱い産業分野は撤退を余儀なくされる。各国はここしばらく、そうした分野への支援や業態転換を促す役割を負わなければならない。我が国の農業分野もその一つだ。

 

 安倍内閣はこれまでTPP対策の一つとして、我が国の農業を強くするため、農協の改革や民間企業の参入拡大に取り組んできている。その中で地味ではあるが、加工食品の原料原産地表示の義務付けという課題がある。

 

 これまでの加工食品の表示は、パッケージの大きさや、国産か輸入かの線引きの曖昧さ、季節や金額による仕入先の頻繁な変更、事業者の負担増大などの難しさから、全加工食品の20%程度しか原料原産地表示が義務付けされなかった。その拡大も長時間を要するものだった。

 

 しかしここに来て、その良し悪しは別として、消費者の多くは国産か外国産かで、商品を選ぶ実態が明らかとなった。国内の農産物生産者は、その品質に自信を持っており、「国産」と表示してもらうことを要望している。ここでは消費者と生産者のニーズが一致している。

 

 一方加工業者はというと、これまでのような厳密な基準では大変な手間がかかるが、国産か輸入品かの大括りや、金額や分量などの基準を明示してもらえれば、義務化の対応は不可能ではないとの意見が出された。

 

 今後技術的な詰めは必要だが、大筋以上のような方向で表示が実現し、消費者の賢い選択に委ねられることが、国内農産物生産者のメリットにもつながる。TPP対策の対策の重要なツールとして、消費者問題調査会長としても、しっかり取り組んで行きたい。

[ 2016.04.04 ]