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ここに収録したパネルディスカッションは平成十一年八月二十五日、ホテル東日本宇都宮で開催された青年の会夏期研修会において、県央で最近新たに誕生した自治体の首長さん方にご参加いただき、二十一世紀を迎えようとしている地方自治の夢や抱負を、伸び伸びと語っていただいたものです。どうか彼らの新鮮な息吹を感じ取っていただければ幸いです。 なおパネラーとコーディネーターは以下の通りですが、文章は当日収録した原稿に船田事務所が加筆・訂正して、ご本人の了解を得たものです。 〔パネラー〕
〔コーディネータ〕
畑 さてちょっと私の方で自治省に問い合わせたところ、全国の市町村長の平均年齢は六十二・五歳で、一方今日ご出席の市町村長の平均年齢は四十六・七歳。如何に客観的に見て若いかお分かりのことと思います。しかもその若さは年齢ということに留まらず、各首長さんの選挙公約を読ませていただきましても、本当に斬新といいますか、「改革」ということを第一に打ち出している。中でも福田市長さんの『脱・お役所宣言』など、こういうキャッチフレーズを堂々と掲げて保守候補が見事に勝ち抜かれる時代になったのだと、感慨深い思いさえいたします。では二十一世紀を切り開かれる四人の首長さん方にまず自己紹介を兼ねまして、各市や町のPRそして次世代に向けてこういうまちづくりをするんだというところを、約五分ぐらいでご紹介いただきたいと思います。では福田市長さんからお願いします。 福田 それでは、自己紹介とまちづくりについてのお話をさせて頂きます。まず栃木県には四十九市町村がございまして、人口は二百万七千人です。その中で宇都宮市は、四十四万三千人です。当然県内では最大の人口ということになります。そして市長としては明治以来、十五人目です。面積が三一二平方キロ。市としては大きな面積を持っています。 畑 続きまして、芳賀町長さんにお願いします。 森 芳賀町の森でございます。私の町は宇都宮のすぐ東側になります。 面積が七十・二三平方キロメートル、宇都宮の約四分の一。 人口は一万七十五百人で宇都宮の二十五分の一とイメージしていただければ有り難いと思います。 地理的には、宇都宮と茂木そして高根沢、 真岡と烏山を結ぶ東西南北の要の街ということです。 世界的に有名なツインリンクのある茂木、日本を代表する焼き物の益子に対して、 芳賀町は何も有名なものがないといわれますが、 意外に地元のいいところに気がついていないのが芳賀町らしさです。 『ディスカバー・ワンセルフ!自分自身の良いところを発見しましょう』 と私は訴えはじめました。 平成九年度の芳賀町産米は特Aというランクになりまして、 魚沼産コシヒカリと同じ食味ですから、 どうぞ芳賀の米をこれからも皆さん召し上がっていただければ有り難いと思います。 また、東京の市場をリードしている梨は芳賀の梨でございます。 苺もJAはが野のブランドで小田茜ちゃんが宣伝していまして、 いつも福岡県と一、二位を争ってます。今年は七十五億円で一位でした。 それと、桃太郎というトマトも大変おいしいのです。 こんなにおいしいものがいっぱい有るのに、 意外に地元が知らないという恥ずかしい話です。 高根沢さんは地元の小学校で米を食べさせているそうですが、 芳賀町は他でとれた高い米を食べているそうです。 早速来年度から、芳賀町産コシヒカリを学校給食にとりいれ、 米飯給食を多くしていこうと思っています。 地元のおいしいものは、小さいうちから食べさせたい。 そういうことで、『ディスカバー・ワンセルフ』ということを、 私は言っている訳であります。 子供のうちから、身近にあるものを当然としておぼえていってもらいたいことです。 私は小学校でよくこういう質問をします。「皆さん頭が体の一部ですか。 体が頭の一部ですか。」と。私は、体が頭の一部だと思う人間です。 二十一世紀は脳細胞の時代です。やはり脳が体を動かしますから、 小さいうちに身近ないいものを身近に覚えていくという育て方をする芳賀町だったら、 「義務教育は是非とも芳賀町に」となっていくのではないでしょうか。 一方介護保険が出来てきましても、 「介護が親切だから、芳賀町に行こう」と言われるよりは、健常な老人が、 生き生きと生涯教育を学んでいただける街を目指したいと思っています。 畑 ありがとうございました。 また後ほど、介護保険ですとか行政のお話がいただけると思います。 続きまして、上河内町長手塚さんにお願いします。 手塚 上河内の手塚でございます。 上河内と聞いて、場所が特定できない方いらっしゃいますでしょうか。 私、町長になって他へ出かけて話をすると、「河内はわかるけど、 上河内はどこだろう」という話をお聞きいたします。 栃木県の地図を四つに折ると、折り目のところがちょうど上河内役場になります。 この会場から、車で二十分ほど北でございます。河内町、そして上河内となります。 しかし、その周辺で上河内で一番辺鄙なところが、宇都宮との境です。 先ず、このような紹介から始まらなきゃならんという所に、 わが町の弱さがあると思っております。 しかしわが町には非常に素晴らしいものも一杯有ります。 霊峰・羽黒山、それから鬼怒川の東と西の分流点がわが町にあります。 明治三十六年に鬼怒川の大洪水がありました。その時にこれではいけないという事で、 「はなめど洞門」という二つのトンネルを掘った。当時の技術としては、 日本の最先端だろうと言うことで、今でも見学にいらっしゃる方がおります。 それから江戸時代中期だろうと思いますが、 「かや土手」という用水を作り上げました。 これは今の技術をもってしても難しいといわれるくらい、 すばらしい土木技術だそうです。 それじゃ何故用水や水に、わが町が昔から取り組んできたかと言いますと、 今、芳賀の森さんも言われましたが、米の一大産地なんです。 「絹島米」と言いまして、元々宇都宮の殿様の米は、わが町からいったと言うことです。 そのためにわざわざ「御用川」という人口の河川を作り、 その米の輸送を図ったということです。 殿様やお寿司屋さんは、かつてはわが町の米しか使わなかったそうです。 いま非常に一般化しまして、 どこの産地の米もブランドをつけて売り出しているわけですが、 これではいけないということで、 うちの方でも「鬼怒の米」というブランドを登録いたしました。 これを一生懸命、これから宣伝していかなくてはならないなと思いますので、 その時はぜひお買い上げの方をお願いします。 それとわが町の苺も素晴らしいものがあります。 あと五年ぐらい経つと栃木県で一番になるのではないかと思います。 また小さな町ですが、最近新聞等で再三取り上げられてきたと言うのは、 栃木県の四十九市町村の中で唯一、 来年(平成十二年)四月からスタートする介護保険対応のデイサービスセンターが無いと、 新聞社の方で頼みもしないのですが取り上げていただきました。 その件で私も毎日のように怒られています。しかし、私自身、 今の段階で町自身では作る気はないとがんばっています。 しかしその代わり他町村に負けないだけの、 介護保険対応や福祉と言うものは進めていきたい。 その一つとして、温泉が今出ておりますが、温泉に関する補助金は無いそうです。 無いならそういう補助制度を作って頂こうと、 後で船田先生にもお願いに上がりたいと思います。 こういう素晴らしい「美人の湯」を来年用地買収、再来年建設と、 なけなしの金をはたいて立派な施設を作っていきたいと思っております。 畑 ありがとうございます。 さすが皆さんその市その町のトップリーダーですからピンチもすべてチャンスに変えてしまい、たいしたものだなと思います。 では、高根沢町長さんにお願いします。 高橋 こんにちは。高根沢町は、芳賀町とほぼ同じでありまして、隣町同士です。 面積もほぼ大体同じです。ただ人口につきましては、今約二万九千五百人。 私が昨年八月に就任してから一年で七百人ほど増えました。 この勢いはまだ止まっておりません。 多分三万二、三千人はこの勢いでいくと思います。 それから微税収入、いわゆる独自財源でありますが、 これも平成十年度から十一年度にかけて、約三億円増えました。 これは非常に有り難いことです。こういう時代にあって、人口が増え、 税収が増えるということは、 一つの町の勢いを示すバロメーターだと私は思っております。 人口と税収が増えているのは二つ要件がありまして、 一つはホンダが高根沢、芳賀町に拠点を少しずつ移していること。 それから高根沢町には「情報の森とちぎ」がありまして、 約二十ヘクタールの敷地に日本で唯一の施設ですが、 情報関連の研究施設が着々と立地を進めております。 そういう事で、人口が増え、税収が増えると言うことです。 しかし一方高根沢町は、約七千ヘクタールの町の面積の中で、 四千ヘクタールが農地であります。芳賀町と上河内町と同じですが、 うちの町も農業の町でして、その中でご存知の様に「元気あっぷ村」というのを、 私の前の岡田町長が作られました。これは食と健康の実験の施設でありますし、 都市と農業の実験の施設であります。 都市と農村がどういう風に関わって行くことが一番望ましいのかという実験をやっております。 三年目に入りました。年間約六十万人の人が訪れております。 うちの人口が約三万人ですから、大変の数の皆さんがお見えになっている。 そういう施設で、わが町の農業をどういう方向に持っていくかという材料を、 今提供して貰っているところです。 それから私が非常に感じていることは、人を集める要素はなんだろうかと。 県都宇都宮は政治、経済の中心ですから人は集まります。 それから日光、那須、塩原という観光地も人を集める大自然という要素があります。 高根沢町には大自然はありません。里山の町です。 そういう町で、どういう風に活性化を図って行くかと言うと、 全国的な流れとしてその町独特の、 町民の皆さんが誇れるようなものを作り出していくこと。 例えば、キーワードの一つとしては、「癒し」。 そういうことをコンセプトにして持っていくことも、一つの町作りの方向ではないか。 「元気あっぷ村」が六十万人集めていると言うのも、一つの現われではないかと思います。 来年の三月に高根沢町では、生ゴミと家畜の糞尿を、 全部推肥に変える施設が完成して稼動を始めます。どの町でもそうだと思いますが、 生ゴミは今、燃やしております。火力が足りないと重油をかけて燃やします。 高根沢町もご多分にもれず、塩谷広域行政事務組合の焼却施設で燃やしております。 しかし、わが町は来年の三月からこれらは、一切焼却施設に出しません。 全部土に返していきます。そしてわが町は、そこに止まりません。 今度は紙、プラスチック、発砲スチロール、 こういった物をどうやって循環させていくかと言うことが、次の段階でありまして。 そういうまちづくりをこれからやっていきたいと思っています。 どうぞよろしくお願いいたします。 畑 どうもありがとうございました。皆様方のお話を伺っていて、 共通して語られているのは、あくまでも主役は市民の方々、町民の方々であって、 そういう人達のパワーをどのように活性化させて行こうかということですね。 実は先日、地方分権推進法案が国会を通過しました。 中央省庁再編法案とセットで行政改革特別委員会で審議されたのですが、 私は委員だったものですから、一時間余り質問させていただきました。 私は与党・自民党に所属していますから、 本来はあまり「ここは駄目じゃないか」と言いにくいのですが、 それにしても地方分権推進と言うのであれば、 やはりある程度「財源」の委譲がされなければ、本当の地方分権とは言えないと、 国政を担っている立場からも思い、その旨発言をしました。 むしろ、地方主権であってくれないと、国の行政も動かない昨今です。 俗に地方分権は「三ゲン」と申しまして、 権限・人間・財源の三つの委譲が欠かせないと言われます。はじめの二つ、 権限と人間は、今回の地方分権推進でかなり委譲されたのは事実ですけれども、 やはりそれを各地方で機能させるには財源が不可欠です。 ところが、この部分が難しい。国税、地方税という問題は今でさえ難しいですから、 この配分をどうするかということが、これから紛糾していくと思います。 そうした中で地方の行政としても、やはり新たな効率化であるとか、 先程の様に市民の方が主役になって民活をどんどん導入していく。 それから今日、四人の首長さんのお話を聞いて、 どこに住むと一番住んだ人は幸せなのかとは優劣つけがたく、 こうなってくると活気が出てきますね。 一般に行政と言うのは、こういう優秀な首長さんになかなか恵まれないと、 企業の様な競争原理が働きませんから、 「税金もらったらどう使おうがかまわないじゃないか」となります。 そうすると色々なしがらみ、 前例などでなかなか効率的に皆さんの税金が使われないことがあります。 でもこういう首長さん達ならそういう事はないし、「こういう事をやっています。」 と情報公開していただくと、皆さんが高く評価いたしますよね。 これからは是非、先程首長さん達のお話にありました、 中心市街地活性化、介護保険の方向性。また農業の分野でも、 やっと国としても基本法がまとまりまして、 新たな農政のあり方も問われる時だと思います。 それぞれの地域で一番力を入れている取り組み、 問題などをどんどん開示して頂けないでしょうか。 福田 今年は宇都宮市制施行一〇三年になります。 先程栃木県には四十九市町村あると申しましたが、 そのうち二十三市町は人口が増えています。二十六は減っています。 しかしここにいる首長さんの自治体は、皆人口が増えております。 高根沢、芳賀、氏家が一番増加率が高く、宇都宮市は伸び率が十三番目です。 これから先、人口減少にどう対応していくかが、街づくりにおける一番大きな課題です。 二〇〇五年、或は二〇〇七年には人口が減り始めるわけです。 二〇五〇年には一億人を切って九千万人台。 そして高齢化率三十五%という時代が必ず来るわけです。 そういう中でどういう街を作るかが、テーマになります。 そこで宇都宮市は、国の指導もあって「中核市」になったのですが、 そのことにより二十億円ぐらいの持ち出しです。「中核市」になったが故に、 保健所の機能を県から移譲されました。福祉関係、衛生関係の権限も貰いました。 許認可権も貰いました。ところが、持ち出しが二十億です。 この事に国も県も知らん振り。そういう状態ですから、 今、権限、人間、財源という話がありましたが、 是非消費税の二%ぐらいは地方に割り戻していただけますように、 国会の両先生にお願いしたいと思います。 そこでまちづくりになりますけども、昭和三十年代頃から各地方は、 「リトルトーキョー」とか「リトルギンザ」というのを競って作りました。 金太郎飴のように、どこでも同じものを。それが間違いだと言うことに、 ここ十数年の間にやっと気がつきました。 しかしこれからは必ず人口が減るのですから、どこに住みたいか、 誰もが住む場所を選ぶ時代が来るのです。選ばれない街になったら悲惨です。 人が住まなければ、税金が入りません。消費も減りますから、お店は上がったりです。 こういう時代にやがてなるかもしれません。三千三百の自治体がありますけれども、 大体3割が勝ち組み、七割が負け組み。 この三割に宇都宮市も芳賀町も、上河内町も高根沢町も入らなければなりません。 それから、これからは地域連携をやっていかなければなりません。 「何でも自分の所でやる。図書館も作ります。文化会館も作ります。 体育館も作ります。」そういう時代はもう終わりました。 お互いに若い首長として誕生させて頂きましたので、 これからは地域連携をしながらまちづくりや施設整備をしていくという、 効率的な運営をしていかなければなりません。 更に、中心市街地の活性化ですが、宇都宮市は三百二十ヘクタールありますが、 人口にして十年間で五千人減っています。買い物客は三割減っている。 こういう状態ですから、先程の「リトルトーキョー」とか「リトルギンザ」という街づくりは止めまして、 宇都宮の身丈にあった個性あふれる、住みやすい、 美しい街を作らなければなりません。 それから「職住分離」、すなわち住む所と働く所が別というのはもうやめて、 これからは住んでいるところで働けるような、 中心市街地の整備をしていかなければならない。 しかし、役所が勝手に作った物はあまり評判が良くありませんから、 地域の皆さんに一緒に考えて頂きたい。また、 隣接の街と一緒にやっていかないとならない時代になりましたので、 そのコーディネイト役は船田代議士であったり、畑先生にお願いしたいと思っております。 森 先程、私どもの町は人口が一万七千五百人といいました。 それは夜の人口でして、昼間は二万二、三千あり、昼間流入人口比率は県1位です。 芳賀工業団地のお陰などで、非常に財源が豊かになって参りました。 しかし、宇都宮の南の方から芳賀の工業団地に通うのに、約二時間かかるそうです。 三千万円で宇都宮では三十坪の家付宅地しか買えません。 でも私どもの町は三千万円あれば八十坪の家付宅地が買えて、 おまけに家庭菜園も出来る。これは人の価値観の違いもありますが、 これからは住み分けの時代です。SOHOなどと言って、 自分の部屋でコンピューターで仕事が出来ますから、なおさらです。 芳賀町の財政状況を言いますと、 非常に豊かになりまして、元々は三割自治だったのですが、 最近はお陰で六割自治になりました。 一般会計七十五億で特別会計は百十億近くなりました。 一般会計七十五億のうち、二十七億ぐらいが芳賀の工業団地から入るんです。 農業生産基盤の土地改良事業で水田の圃場整備率九十二%と、 ほぼ終わっておりますから、後は中心市街地の区画整理に力を入れて行けばいい。 そこでは宇都宮市長さんがおっしゃった通り、 今後は連帯感でやっていかなければなりません。 図書館などは宇都宮近隣で、互換性を持たせるべきです。 近所付き合い、隣組の関係として特に力を入れていきたいのは、 芳賀町、市貝町、益子町、茂木町北部の四町。 お互いに大きな施設を作るにも振興計画を進めるにも、 お互いに調整しながらやっていくことになっています。 福田市長もおっしゃいましたが、日本はどこに行っても金太郎飴であります。 特色を出して行く為には、ドイツ型と言いますか、 地方の誇りを息吹かせて行くようなことが必要です。 江戸時代が何故二百六十五年続いたかと言いますと、 地方の独自の文化とか教育を大事にしたからです。 中央集権国家で欧米に伍するように国家を作り変えたようですが、もう一度見直して、 きちんと系統立った日本を作るにはどうするか、 身近な問題ではわが町をどうするかと言うことであります。 手塚 今、宇都宮市長の方から保健所の問題が出ました。 わが上河内町は河内郡と付くだけに、宇都宮とは昔からの仲でした。 宇都宮も昔は河内郡でした。ところが宇都宮が余りにも大きくなったが故に、 河内郡は北部と南部に分断して、 北部が河内町と上河内町、南部が上三川町と南河内町。 そういう経緯もあって、わが町は非常に宇都宮との関係が深こうございます。 広域関係で宇都宮からは様々な面でお世話になっています。 しかし唯一わが町がお世話をしている物があります。それは水であります。 将来には宇都宮の水のほとんどを、 わが町の松田浄水場で供給するようになるだろうと思います。 この四市町村でどの町が住みやすいかと言うと、 本音でわが町が住みやすいと思います。それはこれからの時代、まず水だからです。 それと関東平野の山が始まるのが、わが町です。 道路の話ですが、二九三号線が大動脈です。 主要地方道が二本通っていますが、一本は「コンパニオン道路」です。 鬼怒川へ通うコンパニオンばかり通るんです。その街道は事故が多すぎる。 県にもお願いしていますが、宇都宮の環状線との取り付けがなかなか進まず、 あと二、三年かかるそうです。宇都宮市長にも一刻も早くできる様お願いしたい。 地理的に可能性を秘めている町で、しかも昔から豊かな町です。 水と緑と歴史と言う、素晴らしい物を持った町ですから、 その財源を巧く組み立てながらやっていけば、一万二千人の人口は達成できるだろうと。 それで小粒で住みよい、人情味溢れるまちづくりをやっていきたいと思います。 高橋 二点あります。一つは環境問題です。先程、生ゴミはもう燃やしませんと言いました。 全部高根沢の農地に、堆肥として返していきます。 それから、そこで出来た農産物は、先ず高根沢の町民が食べます。 高根沢の人が食べて、おいしくて安心だと言う物を市場ルートに乗せます。 この様な町独自の、有機の認証制度を作ろうと思います。 この土作りセンターは、ただ単にゴミ問題や農業問題ではありません。 これは街づくりの根幹と言ってもいいのです。 全国で幾つか先進的な市町村があります。 うちの町と同じシステムを取っているのが、山形県の長井市だそうです。 ここは既に始まっています。私が非常に感動した話は、 その長井市の小学校四年生の女の子が、 私もタバコを吸いますからよく台所の三角コーナーに捨てますが、 その女の子は「お父さん、それは止めてください」と言うわけです。 家で食べる野菜がタバコ臭くなるからと思ったそうです。 こんなに素晴らしい教育はありません。高根沢でもそう言う子供を育てていきたい。 ですから、土作りセンターはまちづくりです。 もう一つ、「宝積寺」は大変な財産です。 昔、「宝積寺―大金」という切符があったのはご存知だと思います。 これは縁起が良い切符であったと思います。宝積寺は、宝を積む寺ですから、 蓄財の寺かも知れません。しかし宝積寺と言う寺は、高根沢のどこにもありません。 実は今度、宝積寺の駅を建て替えることになります。二十億円かかりますが、 橋上駅にしようと思います。であるならば、その駅を「宝積寺」というお寺にしたい。 これは、町の商工会の若手の発想なんです。 別に、宗教法人格を取るつもりはありません。シャレです。 そうして駅長が、頭を丸めて袈裟を着てくれればもっと素晴らしい。 切符を買うところは札所です。実際に、お参りする所も作ったら楽しいと思います。 中心市街地活性化で先程も言いました。駅東口を作るんですが、ここをどうするか。 もう、箱物の発想は止めましょうと言っています。 去年、商工祭と言うのがありました。 初めて「元気あっぷ村」の大駐車場でやりました。 商工会から終わった後、「年に四、五回使わせてくれ」と言われました。 何故なら「元気あっぷ村」の入場者六十万人のうち、町民は2割しかいないんです。 八割は、宇都宮とか他の近隣の方々です。パイが大きい訳です。 「商工祭」は大盛況でした。しかし、その「商工祭」に設備投資してません。 皆さんテントや屋台の出店です。 高根沢の方たちをターゲットにしていては、絶対儲からないんです。 宇都宮から人を呼ばなければなりません。駅でふた駅です。 駅から歩いて東口広場は三十秒です。 宇都宮と同じ駅ビルの「パセオ」を作ってもしょうがないんですよ。 宇都宮とは違う発想でやっていきたい。 駅前広場、水銀灯の明かりの下で「大日本大道芸大会」なんて面白いんじゃないですか。 日本全国から大道芸人を呼んじゃうんですよ。人を集める仕掛けはいろいろある。 そしてリスクを回避するには箱物の発想を止めるんです。そんな事を考えています。 畑 ありがとうございました。 改めて、栃木の一番の宝はこうした皆さんをはじめとした人材であり、 また知恵であると痛感させて頂きました。 お名残惜しいのですが、パネルディスカッションもそろそろ予定の時間が参りました。 私、以前はニュースキャスターとして、 全国の様々な地域でパネルディスカッションに出席させていただきました。 そこでいつも痛感したのが各地方自治体の連携体制の欠如なんです。 例えば市街地からかなり離れたところに、ホテルかと見紛う立派な多目的ホールが、 建っている。しかもその多目的ホールが結局は無目的ホールであるため、 隣町にも似たようなホールが、田んぼの中に建っている。 もし各々の市町村が協力して、それぞれの予算を一度出し合い、 各地域に違った用途のホールを作れば、 もっと住民の人たちはハッピーなのにといつも感じました。 でも今日首長さん方のお話を伺っていると、 少なくとも栃木ではしっかり連携が取れていることを実感しました。それが引いては、 広域合併と言う事になっていくのだと思います。 福田市長さんがおっしゃった、「リトルトーキョー」、「リトルギンザ」を作ってもしょうがないと言う話に尽きますが、 結局それぞれの住民の皆さんが何を幸せと思うのか、それぞれの価値観に合わせた暮らしが出来るような町や市を作り上げていくために、 首長の皆様方は日夜知恵と努力を積み重ねてらっしゃることを、 ひしひしと感じました。特に高根沢の町長さんの若い発想はすごい。大変失礼ですが、高根沢町という名を全国で何人が知っているか。たしかに規模も小さい。 でもかえってそれを逆手にとって、 小さい方が光るまちづくりをどんどん実践されている。 ある程度規模があるところで、水だ土だ人情味だと言ってもどうもピンときませんが、 小さくて過疎の方がかえって説得力があるんですね。 それから先程、芳賀町長さんがこれからは情報化の時代なので、 ここに住んでいてもパソコンでと言うお話がありました。皆さん方の今の話も、 インターネットで流して頂いて全国の方々に知ってもらいたいと思います。 それぞれの町に住みたいという人々が、世界中から集われる様、 ホームページ作りという所でもがんばって頂きたいと願っています。 希望の光が見えて、正直な話、国会審議よりワクワクして、 楽しい今日のパネルディスカッションでありましたが、最後に一言ずつ今後の展望を、 各首長さんに伺いたいと思います。 福田 高根沢でキャベツを買わないで宇都宮で買ってくれように、我々も努力したいと思います。 中心市街地活性化と言う話もありましたが、全国で空き店舗率は八・八%なんですね。 「シャッター通り」なんて言葉が新しく出てきたわけですよ。 宇都宮はそれが七・九%です。では、水戸とか千葉はどうでしょうか。 水戸は郊外に偕楽園があったり、楽しめる場所があるわけです。 周辺の人々はわざわざ買い物に行くんです。では何故わざわざ行くのか。 それはその地域の持っている空間や食文化へのこだわり。 美しい街並みだったり、歩きやすかったりと言ったことが、わざわざ行く要因です。 わざわざ来てもらう街を作っていかなければなりません。 残念ながら「リトルトーキョー」や「リトルギンザ」を宇都宮市は一杯作っちゃいました。 これから何とか早く切り替えて、宇都宮らしさを押し出して、 そして住むなら宇都宮で、買い物するなら宇都宮で、こういう風になる様に、 これから努力していくつもりでございますので、よろしくお願いします。 森 「お遍路道、芳賀町」、みたいのを作りたい。お寺が結構あります。 これから歩く人が多くなります。やはり健常な老人を作るのに、 足から弱ってきますから。娯楽施設は芳賀町に必要なく、 憩いの場があればいいと思います。 生活者はみんな、安心、安全を最終的には求めてくる。 また国会が移転された場合には、特に農政局の次官、局長クラスには芳賀町に住んで頂きたい。 高根沢は別の省の次官に住んでもらって、上河内には建設関係とか。 そういう栃木県にならなければおかしいです。 若い夫婦が過ごしやすい生活空間を作るということ。また民主主義の社会ですから、 多くの意見を聞いて、まちづくりに生かしたいと思います。 そして中心市街地はモール型緑地がいいのか、フランス式花壇庭園がいいのかとか、 意見の出しやすい街にしたいと思います。 手塚 国会が移転されたらと言う話が出ましたが、 わが町は約二百ヘクタールの用途指定を行うつもりです。 移転しますと人もやってくるわけです。どこに住むかというと、 やはり教育に一生懸命のところです。わが町は教育に関しては胸を張ります。 五年間に、全小学校の全面改築を行い、 施設的には決してどこにも負けないように力を入れております。 そういったことを踏まえて今、基盤整備をさせて頂いております。 高橋 国会移転で自然破壊と言いますが、人間が生きていく上で、 環境を汚さないわけにはいかない。かつては人間の環境を汚す度合いというのは、 自然の修復出来る範囲内だったのですが、今はその度合いを越えています。 農業生産性をあげるために土地改良をやって、 水路をコンクリートで固めると生態系が成り立たない。 これは、かつての日本が食糧の足りなかった時代の要請ですから、 私は今さら何も言うつもりはありません。しかし同じ人間の技術が真っ直な水路を、 生態系の保てる水路に変えることが出来るのです。 ですから国会が移転され新たな段階として、 人間の知恵で自然と人間が共存できる仕組みが必ず出来るはずです。 ホンダは世界最先端の技術で車を作っております。「情報の森とちぎ」には、 世界一の投資信託が立地を決めました。NTTデータ通信も来る予定です。 その様に最先端の技術者が集まるわけです。そういう方々が昼間は最先端の仕事をし、 家に帰ると高根沢の自然に癒されるような町を作っていきたいと思います。 畑 ありがとうございました。 カリフォルニアのシリコンバレーにサニーベールと言う市があります。 ここは実はアメリカの中で行政改革の一番のお手本になった市で、 ある分野では行政改革後の効率が十倍改善されました。 効率が上がり住民サービスの質が向上すると、周辺から人が集まってくる。 そして税収が上がるという好循環が生まれます。 ここでの行政改革を米国政府はひな型として、 クリントン・ゴア体制で大きな行革をやり遂げました。 こちらの四市町長さんもそれぞれの活躍ぶりが、 国政によって真似されることで国の行革を引っぱって下さると大いに期待しております。 それでは大変つたないコーディネーターで申し訳ございませんでしたけれど、パネラーの皆さんにどうぞ盛大な拍手をお願いします。ありがとうございました。 (文責:船田元宇都宮事務所)
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