2月末から3月初めにかけて、アメリカは遂にイランに対する攻撃を開始した。圧倒的な実力を持つ米軍は、政治的・宗教的な絶対権力者ハメネイ師を殺害した他、イラン国内の主な軍事基地や、核関連施設を叩いた。照準が狂ったかどうかは定かではないが、軍事目標ばかりでなく、小学校も破壊され、多くの無辜の子どもたちも犠牲になってしまった。
核開発をめぐるアメリカとイランとの協議が難航していることや、イランの革命防衛隊がイスラム軍事組織ヒズボラなどを支援している現実はあるが、そのことで今回のアメリカの軍事行動が全て正当化されるとは考えられない。
アメリカの1月早々のベネズエラ侵攻とマドゥロ大統領の拘束もそうだが、この度の軍事行動は国際法違反の誹りを免れるものではない。独裁政治は糾弾されるべきだが、外からの実力によりそれを排除しようというのは、明らかに民族自決の原則から外れている。
日本の安全は確かに、日米同盟によって成り立っている。表向きの批判はしにくい立場にあることもわからないではない。しかし「事態の早期の収拾を望む」では、あまりにも弱すぎるメッセージであり、何も言っていないに等しいのではないか。親しき中にも礼儀ありー苦言を呈するのも同盟国の役割ではないのか。
日本とイランは昔から友好関係が築かれていた。石油の確保という経済的繋がりもあるが、人口規模も似ており、長い歴史も共通している。特にパーレビ国王時代は緊密さを増したが、革命後も紆余曲折はあったが概ね良好な関係を維持してきた。だからこそもう少し日本は、今回のアメリカの侵攻に対して物を言わなければならないはずだ。
トランプ大統領はこれまで身勝手な相互関税、温暖化防止枠組みからの脱退、国連との対立、ベネズエラ侵攻、そして今回のイラン侵攻など、矢継ぎ早に物議を醸す政策を打ち出してきた。強いアメリカを取り戻すという旗印はあるが、低下しつつある国内支持率を恐れ、今秋の中間選挙を恐れ、エプスタイン文書公開により類が及ぶことを憂えるが故に、かような行動をとっているとしか思えない。
残る手段はアメリカ国民自身がトランプにNOを突きつけるしかない。一連の行為がトランプにはプラスになるかも知れないが、アメリカ全体にとってはマイナスでしかありえない。尊敬してきたアメリカの威信をもう一度回復して欲しい。そして本当の意味のMake America Great Again であって欲しい。