はじめのマイオピニオン - my opinion -
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平成の世あと一年

 天皇陛下の御退位と新天皇の御即位の日程が決まり、関連行事の日程も急ピッチで調整されている。平成31年4月30日に退位、翌5月1日に新天皇が即位される。したがって平成の世はあと一年となってしまった。これからの一年は「平成最後の…」というフレーズが多用されることとなるだろう。

 思えば30年前、昭和64年1月7日が昭和の最後の日になったのだが、昭和天皇が崩御された後はとても慌ただしく、「昭和は終わりか…」などと感傷に浸る暇さえなかった。今回は光格天皇以来200年ぶりにご健在の中での退位となり、平成の世を振り返る時間もたっぷりある。この機会を大切にしたいと思う。

 現天皇陛下は戦後の日本の歩みとともに生きてこられた。皇室の伝統を受け継ぎながらも、皇族以外の民間からお妃をお選びになり、皇太子殿下をはじめとするお子様方の養育を、皇后さまとともにお手元でなさるなど、新しい風を皇室に吹き込まれた。憲法に定められた数多くの国事行為を、一つひとつ丁寧にこなされたばかりでなく、国内外の戦跡を数多く慰霊され、震災などの被災地に何度も赴き、被災者一人ひとりに直接お励ましの言葉を掛けられたお姿は、多くの国民の目に焼き付いている。

 2年前天皇陛下が退位のご意向を示された際は、終身お務めになるべきだとの声も少なからずあった。しかしお務めに全身全霊を傾けられてきた陛下のお姿や、ご高齢によってお務めが十全に出来なくなるのではとの陛下のご懸念を、我々はすぐさま理解するところとなった。

 現行憲法においては第6条と第7条において、内閣の助言と承認による天皇の「国事行為」が定められている。それ以外は私的行為という解釈になっているが、私は以前から、国事行為と私的行為の間にある「公的行為」という範疇を憲法に加えるべきと主張してきた。その中には全国植樹祭や国民体育大会開会式などの行事や、先ほど述べた慰霊の旅や被災地ご訪問なども含まれるのではないか。ご高齢になれば「陛下は国事行為のみをおやりになればいい」という意見もあったが、ご苦労された「公的行為」があったからこそ、皇室に対する国民の尊敬と親しさが醸し出されたのだと思う。

 少し話が硬くなってしまったが、このような天皇陛下のお姿を胸に刻みながら、平成最後の日に至るまでのカウントダウンを、大切に受け止めて生きたいものだ。

[ 2018.05.07 ]