はじめのマイオピニオン - my opinion -
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政治のプロとアマの闘い

 ほぼ一年間延々と続けられたアメリカ大統領選挙、優勢が伝えられていたヒラリー・クリントン氏がまさかの敗北、暴言王の異名を冠されたドナルド・トランプ氏が金的を射止めた。選挙人獲得数では確かにトランプ氏が290人と、過半数の270人を越えたが、得票数ではクリントン氏が200万票上回っていた。州ごとの選挙人総取り制と言った分かりにくい制度のせいだろうか?

 トランプ氏の勝因は様々だが、注目すべきは政治のプロでステータスの塊のようなクリントン氏に対して、政治の素人で野蛮とも言われるトランプ氏が、国民に受け入れられた点だ。またトランプ氏が「プア・ホワイト」の多くから支持されながらも、明確な支持を表明しなかったこと、すなわち「隠れトランプ」の存在が、結果として世論調査の信頼性をなくしたのではないか?

 同様な現象は、ヨーロッパ各国にも波及している。ドイツでは数年前から「AfD(ドイツのための選択)」という地域政党がフライケ・ペトリー氏とイェルク・モイテン氏を共同代表として頭角を現し、国政進出を狙っている。またイタリアでも「M5S(五つ星運動)」と言う新興政党が、コメディアンだったベッペ・グリッロ党首を先頭に、国政選挙で快進撃を続けている。

 これらの政党のスタンスは、右派ポピュリズムと呼ばれるもので、反EU、環境重視を唱える。しかし最も共通する点は、既存政党、すなわちプロ政治家に対する、新興アマチュア政治家の挑戦ではなかろうか?グローバリズムの波に揉まれ、貧困対策もままならない、既存政党に対する批判票の受け皿になりつつある。

 私の選挙区にある宇都宮市の市長選挙が先週行われたが、3期12年の実績を持つ現職が、わずか2カ月前に出馬表明した医師に、6000票差まで迫られた。確かにLRT(新型路面電車)の導入を目指す現職に対して、反LRTと言うワンイシューで無党派層に食い込んだ新人の、戦術の上手さもあったが、プロ対アマチュアの闘いでもあった。アマチュアの怖さをひしひしと感じた。

 私も宇都宮市長も、どちらかといえば政治のプロの部類に入る。しかし現状に不満を抱く人々からは、プロに対してとても厳しい目が注がれている。政治のプロを続けて行こうとしたら、この現状をしっかり認識し、その不満に一つひとつ丁寧に応えていかなければならない。事柄に対して常に謙虚でなければならない。

[ 2016.11.28 ]